労働災害の損害賠償のポイント
労働災害について、会社からの損害賠償金額はどのように計算されるのでしょうか?損害賠償として支払われるものの内容や計算方法をみていきましょう。
労災の会社の損害賠償で計算に加えられるもの
労災について会社からの損害賠償は治療費用、働けない期間の給料補償、逸失利益の補償、慰謝料をもとに計算されます。
また後遺障害により介護が必要になった場合には、介護費用の補償も計算に加えられます
逸失利益とは?
本来であれば得られたはずなのに、事件や事故が起こったことで失われた利益のことを逸失利益と言います。労災の逸失利益とは後遺障害等により働くことができなくなったことによる損害を指し、働いていれば得られたであろう収入を計算して損害額とします。
逸失利益の計算方法
逸失利益は基礎年収・労働能力喪失率・就労可能年数から計算されます。
基礎年収 | 労働災害前年の源泉徴収票に記載されている収入額が原則として用いられます。 |
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労働能力喪失率 | どのぐらい労働能力が失われたかを示す数値です。 亡くなった場合、後遺障害等級が1~3級の場合は100%で計算されます。 |
就労可能年数 | 一般的には67歳までの期間とされますが、そのままの値ではなくライプニッツ係数が用いられます。 ライプニッツ係数は将来に受けとるはずだった利益を、現在の価値に計算するための係数です。 |
慰謝料は何に対して支払われるの?
慰謝料は労災に遭ってしまった被害者に対し、お見舞いの意味で支払われるものです。具体的には次のような内容になります。
①通院や入院に対する慰謝料
治療のため通院や入院を余儀なくされた苦痛に対する慰謝料です。一般的に症状固定までの通院期間や入院期間をもとに、慰謝料額が計算されます。日数ではなく、期間が用いられることに注意が必要です。
症状はそれほど重くはないものの長期間にわたって治療が必要になる病気やケガの場合等には上記慰謝料の考え方について修正されることがあります。
②後遺障害に対する慰謝料
後遺障害に対する慰謝料で、後遺障害等級に応じて支払われます。
③死亡慰謝料
労災被害者が亡くなってしまった場合に、遺族に対して支払われる慰謝料です。亡くなった方が家族の生計を維持していた場合には、慰謝料の金額は多額になります。
被害労働者の過失は減額される
労働災害の会社からの損害賠償額は被害労働者側にも責任があると認められると減額される場合もあります。労働者側に何らかの注意を怠っているといった過失が認められる場合です。どれぐらい減額されるかはそれぞれのケースで異なるため、心配に思われる場合は専門家にご相談ください。