頭部の後遺障害(高次脳機能障害)

労災で残る後遺症の1つに高次脳機能障害があります。脳にダメージを負ったことによって生じる後遺症で、高次脳機能障害の労災の申請には主治医などに意見書の提出が求められます。

高次脳機能障害とは?

「高次脳機能」とは単なる視覚・聴覚等の感覚や筋の委縮や関節の屈伸などの運動等、人が生まれながらにして備えている能力を超えて次第に学習して身についてくる「言語」「空間認知」「対象の認知」「目的をもった動作」や「記憶」「計画的な行動」等を意味するものとされます。
高次脳機能障害、とりわけ脳外傷による高次脳機能障害は、事故により脳外傷が発生した被害者について、その回復過程において生じる認知障害や人格的変化等の症状が、外傷の治療後も残存し、就労や生活が制限され、時には社会復帰が困難となる障害を総称するものであると定義づけられています。

高次脳機能障害の障害等級認定の方法

高次脳機能障害の障害等級は意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力を対象に評価・判断が行われ、認定されます。

4つの能力それぞれについて評価・判断され、全部喪失、大部分喪失、半分程度喪失、相当程度喪失、多少喪失、わずかに喪失、障害なしの7段階に区分されます。
区分基準は以下の通りです。

全部喪失 できない状態
大部分喪失 困難が著しく大きい状態
半分程度喪失 困難はあるがかなりの援助があればできる状態
相当程度喪失 困難はあるが多少の援助があればできる状態
多少喪失 困難はあるが概ね自力でできる状態
わずかに喪失 多少の困難はあるが概ね自力でできる状態

できない、困難が著しく大きい、困難、困難があるが多少の援助があればできる、困難はあるが概ね自力でできる、多少の困難はあるが概ね自力でできる、障害なしの7段階の判定が下り、障害等級が決定します。

問題解決能力での判定例

問題解決能力とは与えられた課題を解決したり、周囲の状況に合わせて手順通りに作業したりできる能力のことです。課題を与えられても手順通りに仕事を進めることがまったくできずに働けない場合は、「できない」と判定されます。

一人で手順通りに作業することについて、著しく困難で頻繁な助言がなければ退所でいない場合は「困難が著しく大きい」、手順を理解することに困難を生じることがありたまには助言を要する場合は「困難はあるがかなりの援助があればできる」、複雑でない手順であれば理解して実行できる場合は「多少の困難はあるが概ね自力でできる」と判定されます。

認定される障害等級

高次脳機能障害は障害等級3級・5級・7級・9級・12級・14級のいずれかに認定されます。ただし重篤で食事や入浴、排泄などに介護を必要とする場合には、常時、または随時介護の程度により障害等級1・2級に認定されます。