Q 会社が「労災隠し」を行った場合にはどうしたらいいでしょうか。
A 労災隠しは犯罪です。労基署へ直接労災申請をご検討ください。
「労災隠し」とは「労働災害の発生に関し、その発生事実を隠蔽するため故意に労働者死傷病報告を提出しないもの、及び虚偽の事実を記載して提出するもの」をいいます(平成3年12月5日基発第678号)。
労災事故が発生したら、会社(事業主)は労基署へ報告しなければなりません。
しかし、労災事故をきっかけにこれまでの違法な体制が発覚することを恐れて、「労災隠し」をしようとする会社がたくさんあります。
具体的には
- 労災にしないで健康保険扱いとする
- 労災発生の事実内容を変更して虚偽の報告をする
- 現場で発生したにもかかわらず自社の資材置き場で被災したように虚偽の報告をし自社の労災保険を利用する
- 現場で発生したにもかかわらず、通勤中に被災したように虚偽の報告をし通勤災害とする
といったものです。
労災隠しは犯罪です。
労災隠しが発覚した場合には「労働者死傷病報告の未提出」もしくは「虚偽の報告」(安衛法100条、120条違反)に該当し、隠した行為者とその所属会社、それぞれに50万円以下の罰金が科されます。
さらに建設業の場合、この刑罰確定後は建設業法違反(28条1項の3)により国土交通省より「指示処分」が出され該当する地方整備局から指名停止等を受けることがあります。
厚生労働省は違反事業者には司法処分を含め以下の事項に留意し厳しく対処することにしています。
- 事業所に対して司法処分を含め厳正に対処
- 事業所に出頭を求め局長又は署長から警告を発するとともに同種事案の再発防止策を講じさせる
- 全国的又は複数地域で事業を展開している企業において労災隠しが行われた場合には必要に応じて企業の本社等に対し再発防止のための必要措置を講じる
- 建設事業無災害表彰を受けた事業場には無災害表彰状を返還させる
- 労災保険のメリット制の適用を受けている事業場ではメリット収支率の再計算を行い、必要に応じて還付金の回収を行う等適正な保険料を徴収する
労災隠しが疑われるときには直接自分で労基署に労災の申請をしましょう。
労災の申請は、会社の協力なしに労働者のみで進めることができ、申請書の会社の押印欄がなくとも労基署は受け付けてくれます。
また証拠を集めることも重要です。たとえば危険な現場の写真、図面、その他の資料、異常な長時間労働を示すシフト表やスケジュール帳、タイムカード、営業日報などの記録などを収集しましょう。
会社の労災隠しに対し一人で対応することは困難といえます。このため、早めに弁護士からアドバイスを受けましょう。
ご相談は、電話・メール・LINEでも可能で、いずれも無料です。
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