墜落・転落事故の労災申請と損害賠償請求
業務中の墜落・転落事故は、特に建設業の工事現場などで多くあり、全国の労災事故に占める割合の中でも特に多い事故類型です。
ここでは、業務中に墜落・転落等によって労災が発生した場合の会社に対する損害賠償請求について解説します。
墜落・転落事故の危険性と法的規制
墜落・転落事故は、高所の作業中に足を踏み外す等により発生し、地面に身体を強く打ちつける可能性が高いため、
大きな怪我に発展する場合や負傷箇所によっては亡くなってしまうケースもあります。
このような危険が潜んでいるため、高所作業等において墜落・転落事故が起こらないように、
労働安全衛生法及び労働安全衛生規則では、会社にしっかりとした対策をするように求めています。
具体的には、高さ2メートル以上の場所で作業する場合には、足場や安全帯の設置を求めるだけでなく、
その安全帯の使用について、会社から作業員に対して、しっかりと教育を行わなければならないとしています。
なお、2メートル未満の場合でも会社に対して、責任を認めた裁判例もあるので、
転落事故の場合は、その高さによらず、会社に対する損害賠償請求も検討した方がよいといえます。
労災の申請について
業務中に転落してしまった場合は、まずは早めに労災の申請をしましょう。労災を隠そうとする会社もありますが、
それは違法であるため、業務中の転落の場合は、必ず労基署などに相談しましょう。
労災申請をすることで、労災保険による治療費、休業損害などの補償のほか、障害が残る場合は、障害補償給付も受けることも可能です。
まずは、適切な治療や補償を受けるためにも、労災申請をすることが重要です。
損害賠償の請求
労災保険からの給付には、慰謝料(入・通院慰謝料、後遺障害慰謝料)はなく、
休業補償や後遺障害による将来の収入減少への補償が不十分であり、その不足を補うためには、
別途、会社に対する損害賠償請求を検討する余地があります。
先ほどの説明のとおり、高所作業を従業員に実施させる場合は、会社としても従業員の安全に配慮し、
転落しない設備の構築や安全教育の徹底が義務付けられています。
これらの対策を施さないまま、従業員が転落・墜落してしまえば、その転落・墜落の原因は、
会社側にもあるといえ、会社側の安全配慮義務違反として、会社に対しても損害賠償の請求ができる可能性があります。
弁護士介入による損害賠償請求のサポート
これまで、転落・墜落事故の場合、会社に対して損害賠償請求できる可能性があることを説明しました。
墜落・転落事故の場合、自らの不注意が原因で落下してしまうことも多いため、
会社側から「おまえが悪い」などと言われ、従業員側の一方的な責任とされてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、先ほどの説明のとおり、転落・墜落事故は、会社の法的な安全対策が徹底されていないことが原因で起きることが多く、
従業員だけの責任で発生することはむしろ少ないといえます。
そのため、転落・墜落事故により、会社に対する損害賠償請求を検討されている方は、お気軽にご相談ください。