製造業における労災事故

製造業は、工場で取り扱う機械に労働者の身体の一部を巻き込まれてしまうなど、労災事故が発生しやすい現場で行う仕事かと思います。

実際に製造業での労災事故は、職業別にみても多くあることに加えて、身体の切断という大怪我につながるケースもあります。
今回は、製造業勤務の方で万が一事故に遭ってしまった場合の労災の補償や会社に対する損害賠償について、説明したいと思います。

労災の申請について

実際に事故に遭ってしまった方は、まずは早めに労災の申請をしましょう。
労災申請をすることで、労災保険による治療費(療養補償給付)が支給されます。
また実際に働けなくなってしまった場合は、休業補償(休業補償給付)も労災から受けることができます。
加えて、障害が残ってしまった場合は、後遺障害の申請を労働基準監督署に対して行うことにより、障害補償給付を受けることも可能です。
なお、この労災補償により補償されない部分については、会社への損害賠償請求を検討する必要があります。

会社への損害賠償請求

会社に対して責任を追及するためには、会社の安全配慮義務違反が認められる必要があります。
この安全配慮義務違反とは、労働者のその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、
必要な配慮を会社がしなければならないというもので、具体的な内容は、業務の内容等によっても変わってきます。
それでは、製造業において、会社に対してどのような責任があるといえるでしょうか。

会社の義務違反の内容

労働安全衛生規則上は、身体の一部が巻き込まれてしまうことを防止するための措置を設けるように規定されており(同131条等)、
この対策を怠っていれば、会社に対して安全配慮義務違反が認められやすくなるといえます。

なお、その他にも、安全指導が徹底されていないこと等をもって会社の義務違反が認められている裁判例もありますので、実際のケースごとにどのような義務違反が構成できるかを検討する必要があります。

弁護士に相談するメリット

上記のとおり、実際に製造業で働いている方で労災事故に遭ってしまった場合は、会社に対する損害賠償請求の余地があります。
しかし、会社に対する義務違反をどう主張するかについては、法律の専門家でなければ対応が難しい部分があるかと思います。
他にも、証拠の収集、損害の算定、会社との交渉、訴訟の提起等について、どのように進めていけばいいか分からない点がたくさんあります。
そのため、弁護士に一度相談してみてください。

実際に弊所が解決したケース

▶ドラム缶製造中、指を巻き込まれ後遺障害10級、精神的な障害について後遺障害14級、併合10級が認定された事案につき、訴訟において、逸失利益について収入の上昇分を主張し、一部認められた事案