食品加工工場での労災~切断事故の対応と法的サポート

食品加工工場は多くの機械と器具が日々稼働している場所です。
そこでは残念ながら、労災のリスクも高まります。
特に手指の切断事故等は突然起こり得るため、法律で設けられた対策の内容と法的支援の重要性を認識しておく必要があります。
この記事では、食品加工工場における労働災害について、どのような法的支援を受けることができるのかを解説します。

手指の切断事故防止における法令の規制

食品加工機には、ロール機や成形機など様々な種類がありますが、この食品加工機に手指を挟まれたり巻き込まれたりすることで、
手指の切断、骨折などの大怪我につながり、労災事故に発展するケースが多いです。

食品加工用機械の使用は、このような大事故に発展する可能性が高いことから、その使用については、法令での規制も多く設けられています。
まず、労働安全衛生規則では、開口部から人の身体の一部が可動部に入ることを防止するための囲い等を、
この食品加工機に設けることを会社に義務付けています。そして、食品加工機に対して、原材料の送給を行う場合は、
原則として機械の運転の停止か用具を使用することとしています。

また、食料加工機について、定期的に点検を実施しなければならないことはもちろんのこと、
その使用に際して、会社は、労働者を雇い入れる時などの場合には、安全又は衛生のため必要な事項について、
教育を行わなければならないとしています。

事故発生に対する対応と労災の申請

上記の規制が法令上設けられていますが、万が一食品加工機に巻き込まれる等により、
怪我をしてしまった場合は、まずは早めに労災の申請をしましょう。
労災申請をすることで、労災保険による治療費、休業損害などの補償を受けることができます。
加えて、障害が残ってしまった場合は、後遺障害の申請をすることにより、障害補償給付も受けることも可能です。
労災の申請に労働者の落ち度は関係ありませんので、適切な治療や補償を受けるためにも、まずは労災申請をすることが重要です。

損害賠償の請求

先ほどの説明のとおり、食品加工機の労災事故については、その発生を防止するため、
労働安全衛生法や労働安全衛生規則上に細かく規定されています。
そのため、身体の一部が食品加工機に巻き込まれる事故が発生してしまった場合は、会社側に過失があるケースが多いといえます。
例えば、身体の一部が入らないようにするための囲い等が設けられていなかった、
機械を止めるように指導・教育されていなかった、機械の点検に不備があった等は、
先ほどの法令に違反する行為を会社が行っていたとして、会社に対する損害賠償請求が認められる可能性が高いといえます。
そこで、適切な被害回復を図るためには、会社に対する損害賠償請求も検討する必要が出てくるといえます。

弁護士相談のメリット

①損害賠償の請求のサポート

上記のとおり、食品加工機に巻き込まれて怪我をしてしまった場合、会社に対して損害賠償請求できる可能性があることを説明しました。
もっとも、労災事故自体が初めての経験の方が大多数です。
その中で、証拠の収集、会社の責任の構成、損害の算定、会社との交渉、訴訟の提起等について、
どのように進めていけばいいか分からない点がたくさんあるかと思います。よく分からないため、泣き寝入りしてしまう方もいるかと思います。
そこで、経験豊富な弁護士に依頼することで、適切な賠償請求するためのサポートを受けることができます。

②後遺障害の認定のサポート

食品加工機に身体の一部を巻き込まれてしまった方の場合、治療を続けても元の状態に戻らず、重大な障害を残してしまう場合があります。
後遺障害が残存する場合は、労働基準監督署に申請を行うことで補償を受ける仕組みになっていますが、
適切な補償を受けられるかどうかについて、不安に思っている方もいるかと思います。
この点についても、後遺障害に詳しい弁護士がサポートすることで、適切な後遺障害の認定や補償につながる可能性があります。
詳しくは、下記のリンクでも説明していますので、そちらをご参照下さい。

>>適切な後遺障害等級認定を受ける重要性について