後遺障害が残ってしまった場合の補償について

後遺障害の等級とは?

後遺障害は14段階に分けられており、1級が最も重くなります。
1~7級に認定された場合には、障害(補償)年金が、8~14級に認定された場合には、障害(補償)一時金を受け取ることができます。
また、等級が重ければ重いほど、受け取れる金額も大きくなります。
しかし、適切な後遺障害等級を受けるためには、医師が書く診断書や、等級の認定の際に行われる面談などが非常に重要です。
医師は治療に関しては専門家ですが、後遺障害の専門家ではありません。
また、ご自身の症状をうまく伝えることができず、実際の症状と異なる内容の診断書により、適切な等級認定がなされないケースが数多くあります。
当事務所は、これまで数多くの労災事故、交通事故被害者の等級認定に携わってきました。
まずが適切な等級認定をしてもらえるように対策を練ることが重要です。

適切な後遺障害等級を受けるためには? 

残存障害が、障害等級に該当する場合、その障害の程度に応じて下記の通り支給されます。

  • 障害等級第1級から第7級に該当するとき
    障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金
  • 障害等級第8級から第14級に該当するとき
    障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金

また、船員については、労災保険給付に加え、船員保険から給付される場合もあります。
適切な補償を受けるためには、適切な等級の認定が必要です。

後遺障害等級

後遺障害等級 障害補償給付金 障害特別給付金 障害特別支給金
1級 給付基礎日額×313日分 算定基礎日額×313日分 342万円
2級 給付基礎日額×277日分 算定基礎日額×277日分 320万円
3級 給付基礎日額×245日分 算定基礎日額×245日分 300万円
4級 給付基礎日額×213日分 算定基礎日額×213日分 264万円
5級 給付基礎日額×184日分 算定基礎日額×184日分 225万円
6級 給付基礎日額×156日分 算定基礎日額×156日分 192万円
7級 給付基礎日額×131日分 算定基礎日額×131日分 159万円
8級 給付基礎日額×503日分 算定基礎日額×503日分 65万円
9級 給付基礎日額×391日分 算定基礎日額×391日分 50万円
10級 給付基礎日額×302日分 算定基礎日額×302日分 39万円
11級 給付基礎日額×223日分 算定基礎日額×223日分 29万円
12級 給付基礎日額×156日分 算定基礎日額×156日分 20万円
13級 給付基礎日額×101日分 算定基礎日額×101日分 14万円
14級 給付基礎日額×56日分 算定基礎日額×56日分 8万円

この表からも分かるとおり、障害等級が一つ違うだけで労災保険から受け取ることができる給付も大きく変わってきます。
→詳しくはこちらもお読み下さい。

労災の等級・後遺障害認定基準とは

業務または通勤の際に発生した疾病やケガの治療をしたものの、身体に一定の障害が残った場合は、障害補償給付(業務災害の場合)・障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。

後遺障害は、障害等級表によって第1級~第14級定められおり、等級により給付の内容が異なります。1級から7級については障害(補償)年金が、8級から14級については障害(補償)一時金が支給されます。

障害等級表

障害
等級
給付の内容 身体障害
第一級 当該障害の存する期間一年につき
給付基礎日額の三一三日分
一 両眼が失明したもの
二 そしやく及び言語の機能を廃したもの
三 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
四 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
五 削除
六 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
七 両上肢の用を全廃したもの
八 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
九 両下肢の用を全廃したもの
第二級 同二七七日分 一 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
二  両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
二 の二 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
二 の三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
三  両上肢を手関節以上で失つたもの
四  両下肢を足関節以上で失つたもの
第三級 同二四五日分 一  一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
二  そしやく又は言語の機能を廃したもの
三 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
四  胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、
終身労務に神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
終身労務に服服することができないもの
五  両手の手指の全部を失つたもの
第四級 同二一三日分 一  両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
二  そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
三  両耳の聴力を全く失つたもの
四  一上肢をひじ関節以上で失つたもの
五  一下肢をひざ関節以上で失つたもの
六  両手の手指の全部の用を廃したもの
七  両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第五級 同一八四日分 一  一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
一 の二 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
一 の三 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、
特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
二  一上肢を手関節以上で失つたもの
三  一下肢を足関節以上で失つたもの
四  一上肢の用を全廃したもの
五  一下肢の用を全廃したもの
六  両足の足指の全部を失つたもの
第六級 同一五六日分 一  両眼の視力が〇・一以下になつたもの
二  そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
三  両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
三 の二 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では
普通の話声を解することができない程度になつたもの
四  せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
五  一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
六  一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
七   一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失つたもの
第七級 同一三一日分 一  一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
二  両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では
普通の話声を解することができない程度になつたもの
二 の二 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では
普通の話声を解することができない程度になつたもの
三  神経系統の機能又は精神に障害を残し、
軽易な労務以外の労務に服することができないもの
五  胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
六  一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失つたもの
七  一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの
八  一足をリスフラン関節以上で失つたもの
九  一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
一 〇 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
一 一 両足の足指の全部の用を廃したもの
一 二 外貌に著しい醜状を残すもの
一 三 両側のこう丸を失つたもの
第八級 給付基礎日額の五〇三日分 一  一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
二  せき柱に運動障害を残すもの
三  一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失つたもの
四  一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの
五  一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
六  一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
七  一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
八  一上肢に偽関節を残すもの
九  一下肢に偽関節を残すもの
一 〇 一足の足指の全部を失つたもの
第九級 同三九一日分 一  両眼の視力が〇・六以下になつたもの
二  一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
三  両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
四  両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
五  鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
六  そしやく及び言語の機能に障害を残すもの
六 の二 両耳の聴力が一メートル以上の距離では
普通の話声を解することができない程度になつたもの
六 の三 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、
他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが
困難である程度になつたもの
七  一耳の聴力を全く失つたもの
七 の二 神経系統の機能又は精神に障害を残し、
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
七 の三 胸腹部臓器の機能に障害を残し、
服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
八  一手の母指又は母指以外の二の手指を失つたもの
九  一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの
一 〇 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
一 一 一足の足指の全部の用を廃したもの
一 一の二 外貌に相当程度の醜状を残すもの
一 二 生殖器に著しい障害を残すもの
第一〇級 同三〇二日分 一  一眼の視力が〇・一以下になつたもの
一 の二 正面視で複視を残すもの
二  そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
三  十四歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
三 の二 両耳の聴力が一メートル以上の距離では
普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
四  一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
六  一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの
七  一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
八  一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
九  一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
一 〇 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第一一級 同二二三日分 一  両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
二  両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
三  一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
三 の二 十歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
三 の三 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
四  一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では
普通の話声を解することができない程度になつたもの
五  せき柱に変形を残すもの
六  一手の示指、中指又は環指を失つたもの
八  一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
九  胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第一二級 同一五六日分 一  一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
二  一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
三  七歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
四  一耳の耳かくの大部分を欠損したもの
五  鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
六  一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
七  一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
八  長管骨に変(変)形を残すもの
八 の二 一手の小指を失つたもの
九  一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
一 〇 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み
二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
一 一 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
一 二 局部にがん固な神経症状を残すもの
一 四 外貌に醜状を残すもの
第一三級 同一〇一日分 一  一眼の視力が〇・六以下になつたもの
二  一眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
二 の二 正面視以外で複視を残すもの
三  両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
三 の二 五歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
三 の三 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
四  一手の小指の用を廃したもの
五  一手の母指の指骨の一部を失つたもの
八  一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
九  一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
一 〇 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの
又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
第一四級 同五六日分 一  一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
二  三歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
二 の二 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
三  上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
四  下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
六  一手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
七  一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
八  一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
九  局部に神経症状を残すもの

年金の支払月

障害(補償)年金は、支給要件に該当することとなった月の翌月分から支給され、毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月にそれぞれ前2カ月分が支給されます。

一時金の支払い(8級~14級)か、年金の支払い(1級~7級)かで受け取ることができる補償も大きく変わってきます。

後遺障害の認定手続

労災保険の後遺障害等級認定を行う主体は、労働基準監督署(労基署)です。労基署の認定調査を経て、後遺障害を認定するかどうかが判断されます。

この労基署に対して後遺障害等級の認定手続を進めていくには、障害の内容を具体的に記載した診断書を一緒に提出しなければなりません。この診断書は、「障害(補償)給付請求書添付診断書」と呼ばれるものです。

そして、この提出された診断書に基づいて、労基署は被災労働者本人との面談を行い、後遺障害の認定について判断します(事案によっては医師に照会を行う場合もあります。)。

そのため、後遺障害の認定を受けるためには、この診断書の記載内容等が非常に重要なものであることが分かります。

この診断書に不備や不正確な表現等があることで、あるべき後遺障害の認定が受けられない可能性も十分あります。

>>労災保険の申請手続きの流れ

当事務所のサポート

このように、診断書の記載は非常に重要であり、記載内容によっては、認定される等級結果や補償にも大きく影響が出る可能性があります。

また、ご本人が労基署で面談する際にも、初めてのことで、面談時に上手く症状等を説明できるか不安な方も多いかと思います。

当事務所は、労災被害に遭われた方の後遺障害の申請のサポートに注力し、適切な障害診断書となっているか等のチェックを行うだけでなく、ご本人の労基署での面談時に上手く自身の症状を伝えていけるように、事前に打ち合わせ等を実施しサポートさせていただきます。

>>労働災害を弁護士に依頼すべき3つの理由

>>当事務所の9つの特徴