労災事故発生から問題解決までの流れ【労災に強い弁護士が解説!】
労働災害にあってしまったとき、労災認定を受けることができれば、様々な給付や損害賠償を受けられる可能性があります。
しかし、そのこと自体は知っていても、具体的にどのような手続きを取ればよいのか、また、どのような流れで給付を受けるに至るのかは、知らない方も多いと思います。
そこで、この記事では、労災事故が発生してから、問題解決に至るまでの流れを解説していきます。
1.会社に対して労働災害が発生したことを連絡する。
業務中にケガや病気になってしまったことが分かった場合、まずは、会社に対して労働災害が発生したことを報告します。
報告は具体的に行うことが必要です。状況を整理してから、メモを作成するなどして、報告すると良いでしょう。
2.労働基準監督署へ労災保険給付の請求書を提出する。
労災の認定は、労災保険制度の中で行われます。したがって、労災保険給付を担う労働基準監督署へ、申請を行うことになります。
申請は会社の所在地を管轄する労働基準監督署へ行うことになります。
申請についてのルールは、厚生労働省のホームページで詳しく説明されています。
厚生労働省のホームページはこちら
上記の通り労災保険給付の請求をすると、労働基準監督署は被災者や会社等に対して、事実確認のための聞き取りを行うなどし、労災事故の調査が始まります。
この調査に対しては、それぞれ対応が必要となります。
なお、会社としては、労働災害が発生した場合には、遅滞なく労働基準監督署に対して「労働者私傷病報告」を提出しなければなりません。
事故現場と会社の事務所がある地域が異なる場合は、事故現場を管轄する労働基準監督署に提出しなければならない点に注意が必要です。
3.労災保険の給付決定が行われ、給付が開始する。
調査が終了すると、労働基準監督署は収集した情報をもとに、今回の事故が労災と認められるか否か、給付を行うか否かの決定を行います。
仮に不支給決定が出て、不服がある場合には、3か月以内に管轄労働局の労働者災害補償保険審査官に対して審査請求を行うことができます。
この結果にまだ不服があれば、当該決定から2か月以内に労働保険審査会へ再審査請求をすることもできます。
4.会社に対する損害賠償を検討する。
上記では、労災保険の給付を受ける手段の流れを見てきましたが、会社の過失等によって労災事故が発生した場合、別途会社に対して損害賠償請求をする余地があります。
労災保険からの給付は、労働者を最低限保護するための制度ですので、損害の満額を填補することにはならない場合があります。
そのようなときに、不足分をさらに会社に請求することができるというイメージとなります。
なお、どのような場合にいくら請求することができるのかは、非常に複雑な問題です。請求する方法についても、任意の交渉や法的手続(訴訟)など、複数存在します。
適正な賠償を実現するためにも、詳しくは、一度専門家(弁護士)に問い合わせてみることをお勧めします。
5.会社からの損害賠償を受け、事件解決。
会社からの損害賠償を受けることができる場合、その支払いをもって、金銭的に問題解決となります。
残念ながら、体に負ってしまった傷等は治療可能な範囲でしか元に戻すことはできません。
しかし、慰謝料をはじめとする金銭賠償を受けることで、少しでも事故前の生活に近づけるようにすることが大切です。
本記事では、労災事故発生から問題解決までの流れを解説しました。
ここまで見てきた通り、労災制度は、その申請も含めてやや複雑な仕組みとなっています。労働災害にあってしまった方が、ケガやストレスを背負ったまま自ら賠償請求を行うということは、非常に大変です。
そこで、労災申請や保険の使用方法、損害賠償請求等について、専門家である弁護士に依頼するということが考えられます。弁護士は、労働災害の知識・経験が共に豊富ですから、効率よく労災申請・賠償請求を進めることができます。その結果、ご自身で手続きを行うより、簡単に保険金・賠償金を受け取ることが期待できます。
通勤災害による労災保険の申請、保険金・賠償請求を検討する際は、ぜひ一度、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。